夢で会いましょう
夢で会いましょう/村上春樹・糸井重里/1986年 が面白い
アイウエオ順(カタカナ)に、適当な単語でタイトルをつけて、
1,2ページ程度の話なりエッセイを、その場の思いつきだけで
書いていくというもの
この2人が書くのだから、普通におさまるわけがなく、
疲れているときに読むと、疲れがとれるような、薬のような「効く本」です
ア:
アイゼンハワー
アシスタント
アスパラガス
アパート
アルバイト
アレルギー
アンコール
アンチテーゼ
イ:
インタヴュー
インディアン
インテリア
ウ:
ウエスト・コースト
と、こんな目次です、だいたい印象は掴めたでしょうか
ジ:
「ジンクス」(糸井)
黒猫に前を横切られるくらい、何でもないことだ。
俺は黒猫を飼っているのだから。
しかし、ノーベル賞に落ちた日には、何か悪いことがある。
去年は、公衆電話に入れた10円玉が、お話し中でつながらなかったのに
戻ってこなかったのだ。
自動車事故に遭って、片足がなくなった日も、ツイてない場合が多い。
ホットドッグにはさまったウィンナーソーセージを、丸のまま落っことしちまったのだ。
雨の降る日も、ろくなことがない。
買ったばかりの傘を濡らしてしまったんだぜ。
夜中に強盗に押し入られた時には、不吉なことが起こる。
この前なんか、燃えないゴミを出し忘れちまった。
教室に入った時、美人の女子学生ばっかりが先に座っていたりすると、
ろくなことがない。うれしくて、ちびってしまったこともある。
しかし、やっぱり命を失った時が最悪だ。
この前、その日が宝籤(くじ)の発売日だったんだぜ。
マ:
「マッチ」(村上)
(略)
「ねえ、さっきから何してるんですか?」と僕の友人が彼女に声をかけた。
彼は忍耐強いガール・ハンターとして新宿では名を知られた男である。
彼女は小馬鹿にしたような顔つきで我々を見た。雨あがりの舗道に落ちている
ディスコの割引券でも眺めるような目つきだった。
「何してるって—–ぱちん—–マッチ棒を—–ぱちん—–折っているのよ」
「楽しいですか?」
「それは私の—–ぱちん—–問題でしょ」
「でも世の中にはもっと楽しいことがあると思うんだけどな」
「例えば?」ぱちん。
「例えば・・・・あしかの首を折るとか」
「ふうん」と彼女は言った。「それで、どこにあしかがいるの?」
「それなんだ」と僕の友人は言った。「この近くにとてもいいあしかの穴場があるんだよ。
行ってみない?」
「動きたくないのよ」
「残念だなあ。とてもあしかがいっぱいいるのに」
「本当?」
「手あたり次第さ。ぽきん・ぽきん・ぽきん」
「でもあしか、かわいそうじゃない」
「いやいや、あしかというのは年に一度くらい首の骨を折ってやらないと
うまく成長できないんだよ。だから君も楽しめる。あしかも喜ぶ」
(略)
糸井さんは、オチがあって皮肉で、起承転結がある小話ものが多く、
春樹さんは、山もオチもないものが多く、
ふわふわ漂う雰囲気と時間の流れが、リアルに伝わってきて、
なんだか意味がわからないまま読んでしまう
2001年で35版出ている。




